スリランカを代表する建築家、ジェフリー・バワ(Geoffery Bawa)
スリランカで最も有名な建築家といえば、ジェフリー・バワ(Geoffrey Bawa)(1919年〜2003年)。
ジェフリー・バワの建築物は、建物とプール、海や湖を意識した、建物が自然に溶け込むような独自のスタイルで知られています。また、水平線とプールの水面が溶け合うインフィニティプールのスタイルを確立した建築家でもあります。
今や世界中にあるラグジュアリーホテル、アマンリゾートの創始者、エイドリアン・ゼッカやアマンリゾートの建築家として知られるケリー・ヒルがバワの建物に影響を受け、アマングループのホテル建築物に大きな影響を与えたというエピソードでもとても有名です。
ジェフリー・バワの経歴
バワは、元々は建築家ではありませんでした。1919年、コロンボのとても裕福な家庭に生まれ、両親は父親がイギリス系で弁護士、兄はランドスケープ設計士という家庭で育ちました。コロンボのロイヤル・カレッジで、法律と英語を学び、1938年、19才でイギリスへ留学。イギリスでも法律を学んで弁護士になり、1946年、27才で帰国すると法律事務所で働き始めます。余談ですが、スリランカでロイヤル・カレッジを卒業するということは、かなりステータスが高く、両親がかなりの富裕層だったことが伺えます。
その後、母親が亡くなると法律の仕事を離れ、世界中を旅行して約2年間を過ごします。帰国後、自分の理想郷をつくろうと、土地を購入しますが、建築の知識がなかったため、再びイギリスへ留学して建築のディプロマを取得。1956年、37才で帰国すると建築家としてのキャリアをスタートします。
バワのつくる建物は、トロピカル・モダニズムと呼ばれ、その土地の素材を活かし、建物と自然の融合による、自然に溶け込むような開放感あふれる建物を目指しており、独特の世界をつくっています。
2003年、84才で亡くなりましたが、その独特の建物のスタイルや世界観は、今なお世界中の建築家に影響を与えています。
その中でも、私の大好きな建物をいくつか紹介したいと思います。
バワの別荘、ルヌガンガ (1948-1998)Lunuganga
ルヌガンガは、バワが建築家になるきっかけとなった、理想郷をつくるための土地を購入した場所です。スリランカ南西部の海沿いではなく、やや内陸部に入った湖のほとりにあります。生前は仕事場や別荘として親しい友人を招いたりしていたそうです。ここは、バワが建築家としてスタートした場所ですが、バワが眠る墓地がある場所でもあります。
現在では、バワ財団に管理されていて、見学、ランチ、宿泊などができるようになっています。客室は6つあり、どの部屋もバワの感性が感じられる個性的なお部屋です。宿泊ができるとはいえ、ホテルとは異なり、ホテルのようなサービスはありません。
ここは、生前約50年間に渡りバワが手を入れ続けていた場所で、バワの感性が最も感じられるプライベートの邸宅です。テレビやwifiはなく、共用のリビングにはバワの建築やルヌガンガについての大きな本があるだけです。湖に面した広大な敷地には美しい庭園が広がりあちこちにテーブルと椅子が置かれています。晩年の足の悪くなったバワは、このテーブルで風に揺れる木々の音や小鳥のさえずりを聞いて過ごしたのでしょうか。
ルヌガンガ 公式ホームページ:https://geoffreybawa.com/lunuganga
バワの自宅、Number.11(1959)Colombo
Number.11は、コロンボ市内にあり、オフィス兼住居として住んでいた場所で、ここも30年以上手を入れ続けた場所です。建物は4軒が連なった長屋のようになっていて、最初に1軒を買って、その後3軒を買い足していったのでそうなったようです。
ここも、バワが実際に過ごした時間を感じられる場所で、宿泊や見学をすることができます。建物の入り口には、バワが乗っていたロールスロイスが停まっています。
Number. 11 公式ホームページ:https://geoffreybawa.com/number-11
湖の中にたたずむ、シーマ・マラカヤ寺院 (1978)Colombo
シーマ・マラカヤ寺院は、コロンボにあるベイラ湖の真ん中に建っているお寺で、コロンボの人気観光スポットになっています。バワは、ホテルだけでなく、お寺や国の建物の設計も手がけています。
靴を脱いで建物に続く桟橋を渡ります。建物の周りにはたくさんの仏像が規則正しく並べられていて、湖からの風を感じられるつくりになっています。湖の中にたたずむ寺院は、どこか凛としてコロンボの喧騒を忘れさせる静寂感があり、とても美しいです。
ジェフリー・バワの建築は、スリランカにまだまだたくさんあります。次回のブログでさらに紹介していきたいと思います。
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